お店の中では有線やBGMが流れていることがほとんどですが、お店のブランディングや顧客の購買意欲に影響を及ぼしています。つまり、知らない間にお店の音楽が商品の購入の一因となっているのです。では、具体的にお店のBGMと購買意欲にはどんな関係があるのでしょうか。ここでは脳とお店のBGM、そしてお店の売上との関係性について解説します。
音楽には人の感情を動かす効果がある
音楽には人の感情を動かす効果があります。そして、この感情の変化は行動にも現れます。日常の中で何気なく聴いている音楽として、スーパーのBGMや飲食店の有線・ラジオなどが挙げられます。これらはあまり意識せずに聴き流していることがほとんどですが、実は気づかない間に影響を受けています。
アップテンポで騒がしい音楽は、聴いている人の気持ちを高めて盛り上げてくれます。それとは逆にスローテンポな曲は気持ちを鎮め、ゆったりとした気持ちにしてくれます。例えば、スポーツジムでは基本的にアップテンポな音楽が流れているでしょう。これは音楽に合わせて動くことで、呼吸を整えて一定のペースを持続させる役割だけでなく、ドーパミンを放出させ、運動時の「苦しい」という感情を和らげる効果もあります。また、逆に喫茶店ではクラシックやジャズなどゆったりとした音楽が流れていることが多いでしょう。これはゆったりとした音楽を流すことで心を落ち着かせ、友人との会話を楽しむなどのんびりとした時間を演出しています。
お店のBGMは売上やお店の滞在時間にも影響する
お店のBGMや有線・ラジオはお店の印象にも大きな影響を及ぼします。一般的に、高級店ではクラシックなど高貴かつのんびりとした印象の音楽が流れているでしょう。これは店内で落ち着いた音楽を流すことで、店内でゆっくり時間を過ごして商品をじっくり比較・検討する余地を与えてくれます。逆にアップテンポな音楽は顧客の脳を刺激し、「早く商品を決めなきゃ」と焦らせます。スーパーや家電量販店で少し安っぽい印象のアップテンポな音楽が流れるのは、リズムに乗って商品を次々とカートに入れやすくする目的もあります。それだけでなく、顧客の焦燥感を高めることで「お店から早く出なきゃ」という気持ちにさせ、お店の回転率を上げるという効果も期待できます。
また、顧客のメイン層の好みに合わせた音楽の方が顧客の気分を高めて商品を売れやすくします。実際に有名高級ブランドではヒットチャートに入るような流行りの音楽よりも、クラシック音楽を流した方が売れ行きが良かったという結果も出ています。それとは逆に、ストリート系のアパレルショップではヒップホップが流れることが多いのもこれと同じ理由と言えます。
その他に、お店のブランディングにもBGMは影響を及ぼします。例えば、クラシックが流れているお店は「敷居が高い」と感じやすいでしょう。実際に価格帯が高めのお店ではクラシックが流れやすい傾向があります。そして、高級店は普段からクラシックに馴染みがある富裕層が集まりやすく、ブランディングにつながると考えられます。それとは逆に、100円均一など価格帯の安いお店では流行りの音楽の打ち込み版が流れていることが多いです。これは少しチープに聞こえるような音楽を流すことで店の敷居を低くし、商品を手に取りやすくする役割を果たしています。このように、お店のBGMにはお店の印象や顧客層をコントロールする効果もあります。
お店のBGMには顧客の心を動かす役割がある!
お店で流れているBGMにはお店のブランディングを行う、回転率を上げる、購買意欲を高めるなど様々な役割があります。私たちは街を歩いたり、ショッピングをする中で様々な音楽を耳にしますが、知らない間に耳にしている音楽の影響を受けているのです。店内BGMはそのお店がどんな価格帯の商品を取り扱っているのか、ユーザー層はどんな層なのかを知るヒントになって面白いですので、ぜひお買い物の際に意識して聴いてみてください。