はじめに:ベルーナとはどんな会社?
「ベルーナ(BELLUNA)」と聞くと、カタログ通販やファッション通販のイメージを持つ方が多いでしょう。実はこの企業、アパレルだけでなく食品、インテリア、不動産、さらには金融まで手がける多角経営の総合企業
この記事では、そんなベルーナの創業から現在に至るまでの軌跡をたどり、なぜこれほどまでに多方面で成長を遂げられたのかをひも解いていきます。
創業:ベルーナのルーツは埼玉の小さな繊維商社
ベルーナの前身は、1968年に埼玉県上尾市で設立された「株式会社鈴屋」です。創業者は現・代表取締役会長の安野清氏。当初は、呉服や寝具などの繊維製品を扱う小さな卸売業者にすぎませんでした。
しかし、1970年代後半になると、カタログによる通信販売の可能性に注目。ここから「ダイレクトマーケティング」を強みに大きく舵を切り始めます。
1980年代:カタログ通販事業で急成長
1981年、「鈴屋通信販売部門」を立ち上げ、本格的に婦人服のカタログ通販に乗り出します。創業者の安野氏は、流通を効率化するため、メーカーとの直接取引、独自のデザイン企画、生産管理などを構築。
中高年女性をメインターゲットとした「見やすく、選びやすいカタログ」は好評を博し、全国規模での拡大に成功します。
社名を「ベルーナ」に変更
1992年、「鈴屋」から現在の社名「株式会社ベルーナ」に変更。社名はイタリア語の「美しい(Bella)」と英語の「New(新しい)」を組み合わせた造語で、「美しく新しい暮らしの提案」を企業理念として掲げています。
1990年代後半:カタログからECへと進化
1990年代後半、日本国内でもインターネット通販が急速に普及しはじめると、ベルーナは他社に先駆けてECサイトの運営を開始します。
従来の紙カタログに加え、Web上でも注文・商品検索・返品対応ができる仕組みを整備し、シニア層にもわかりやすいUI設計を意識したオンライン戦略が支持されました。
2000年代:多角経営への本格着手
アパレル通販で安定した収益基盤を築いたベルーナは、「カタログ通販会社」から「生活総合支援企業」へと業態を拡大していきます。
主な事業展開
- 食品事業:グルメ通販「ベルーナグルメ」、ワイン通販「My Wine Club」など
- インテリア事業:寝具・家具などの通信販売
- 美容健康:サプリメント・スキンケア商品の開発・販売
- 保険・金融関連:クレジットカード・ローンなどの金融サービス
- 不動産開発:ホテル・高齢者施設の開発・運営
これにより、ベルーナは「通販の枠」にとどまらず、生活に寄り添うライフスタイル総合企業としての存在感を強めていきました。
2010年代:リアル店舗・ホテル事業へ進出
2013年には、婦人服を中心としたリアル店舗「RyuRyu」や「BELLUNA」ブランドの展開も開始。全国のショッピングモールに出店し、オンラインとオフラインのハイブリッド戦略を展開しています。
さらに、観光業にも参入し、「ホテルベルーナ」ブランドで温泉旅館・宿泊施設を運営。このホテル事業は、コロナ禍以降の観光需要の回復により、収益の柱の一つとなりつつあります。
現在(2025年時点)のベルーナ
上場企業としての実績
ベルーナは2004年に東証一部(現プライム市場)上場を果たし、売上高は2000億円超(2024年度実績)に達する一大企業グループとなりました。
主なグループ会社
- オージオ(化粧品)
- ベルーナユナイテッド(食品)
- セシール(旧ディノス・セシール)
- グランベルホテル(観光)
これらを含めた多事業体制により、不況や社会変化にも強い経営基盤を築いています。
なぜベルーナは成長し続けられるのか?
ベルーナがここまで成功してきた要因として、以下の3点が挙げられます:
- ダイレクトマーケティングの徹底:顧客データを活用した提案型営業
- 中高年女性をメインにしたターゲット戦略:ニッチ市場への深い理解
- 変化への柔軟性:EC化、実店舗化、観光業への進出など
特定の市場に依存せず、常に生活者の視点に立った商品・サービス開発を続けていることが、ベルーナの成長力の源泉といえます。
まとめ:ベルーナの歴史は「変化への挑戦」の連続だった
- 1968年に埼玉で創業した繊維商社がルーツ
- 1980年代にカタログ通販で急成長、1992年に「ベルーナ」に社名変更
- 2000年代からは食品、インテリア、金融、不動産へと多角化
- 現在は年商2000億円を超える、ライフスタイル総合企業へ
ベルーナの歩みは、単なる「通販会社」ではなく、日本の生活を支える総合企業へと進化したビジネスモデルの好例です。
今後も、時代の変化に合わせて柔軟に事業を広げていくベルーナから、目が離せません。