【知られざる誕生秘話】ペットショップはなぜできたのか?その起源と発展の歴史を徹底解説

はじめに:ペットショップの存在は当たり前?

私たちの身近にある「ペットショップ」。犬や猫、小動物、観賞魚などを購入できる店舗は、街中やショッピングモールでもよく見かける存在です。

しかし、そもそも「なぜ動物を店頭で売る文化」ができたのか、疑問に思ったことはないでしょうか?動物はもともと自然の中で生きていた存在です。そんな彼らが、どのようにして「商品」として取り扱われるようになったのでしょうか?

この記事では、ペットショップが誕生した背景と、どのように発展してきたのかを、歴史・経済・文化の視点から紐解きます。

動物を「飼う」という文化のはじまり

古代文明と人間の共生

人間が動物を飼い始めたのは、はるか紀元前にさかのぼります。最も古いペットの記録は、約1万5,000年前の中東地域で発見された「犬の埋葬」です。これは、オオカミが人間と共に暮らすうちに家畜化され、ペットへと変化した証拠でもあります。

古代エジプトでは猫が神聖視され、ギリシャやローマでは鳥やサル、魚なども飼育されていた記録が残っています。しかし、この頃の「ペット」は貴族や祭司階級の娯楽やステータスの一部であり、商業的に「販売される」存在ではありませんでした。

動物の商取引のはじまり

中世ヨーロッパでは、狩猟用の鷹や犬、愛玩動物としての小型犬が王族や貴族の間で人気を博しました。これに伴い、一部の動物商人が登場しますが、取引の主流は貴族間の譲渡やギフトであり、まだ一般に流通するほどではありませんでした。

ペットショップの原型は「動物市」だった

16〜18世紀ヨーロッパの動物市

現在のペットショップの原型は、16世紀以降のヨーロッパに登場した「動物市(アニマル・マーケット)」だとされています。市場の一角で、鳩、ウサギ、小鳥、猿、観賞魚などが売買されており、庶民も小動物を入手できるようになってきました。

これらはしばしば「骨董市」や「園芸市」と一緒に開催され、装飾や趣味としてのペット飼育文化が生まれつつあったのです。

都市の発展とペット文化の大衆化

18〜19世紀、都市化と中産階級の台頭により、動物を「生活のパートナー」として迎える家庭が増えます。特にロンドンやパリ、ベルリンといった都市部では、動物専門の店がぽつぽつと出現し始めました。

この時期、飼い方・餌・道具などの需要も高まり、動物を中心とした小売ビジネスが本格化していきます。

世界初の「ペットショップ」はどこ?

記録上、世界で最初の「ペット専門店」とされているのはイギリス・ロンドンの「Spratt’s Patent Limited」。この企業は、もともと犬用のビスケットを製造していましたが、19世紀後半にはペット用品と動物販売を組み合わせた店舗展開を行っていました。

ここで初めて、犬・猫・鳥・魚などを「選んで買える」という、現代のペットショップのスタイルが確立したとされています。

日本におけるペットショップの誕生

明治〜大正時代:舶来文化と共に登場

日本でペットショップが登場するのは、明治時代の文明開化以降。西洋のライフスタイルが取り入れられ、犬や猫、鳥などを「飼う」家庭が増加していきました。

特に東京や大阪などの都市部では、鳥類を中心に販売する「鳥屋(とりや)」が多く見られるようになり、これがペットショップの原型とされています。

戦後の高度成長期とともに全国へ

1950〜60年代、日本経済の発展と共に核家族化・都市化が進み、「癒し」や「防犯」を目的にペットを飼う家庭が急増。これに伴い、ショッピングセンター内のペットショップや路面店舗が全国に拡大していきました。

この時期から、ペットショップでは動物だけでなくフード・用品・美容サービスなども一括提供する「総合ペットサービス店」へと進化していきます。

現代のペットショップが抱える課題

命を「商品」として扱うことへの倫理問題

現代のペットショップは、利便性が高い一方で、「命を買う」という構造に対する批判も強くなっています。特に日本では、ペットの展示販売が一般的であり、狭いケース内で長時間過ごす動物たちのストレスや健康リスクが問題視されています。

繁殖業者との関係と流通問題

ペットショップで販売される動物の多くは、ブリーダー(繁殖業者)やパピーミル(大量繁殖場)から供給されています。この流通構造には、過密飼育・不衛生な環境・遺伝的疾患の問題など、深刻な課題も潜んでいます。

近年の変化:保護動物との連携

こうした課題を受け、最近では保護犬・保護猫を紹介・譲渡するタイプのペットショップや、販売を行わず用品専門に特化する店舗も増加しています。

一部の自治体では「販売型のペットショップ禁止」の動きも出ており、今後、ペットショップの在り方は大きく変化していくと考えられます。

まとめ:ペットショップは社会の変化とともに生まれた

  • ペットショップの起源は16世紀の動物市にさかのぼる
  • 近代ヨーロッパで専門店化され、ロンドンが発祥地とされる
  • 日本では明治時代から都市部で展開され、高度成長期に全国化
  • 現代では命の扱いや流通倫理をめぐり、新しい方向性が求められている

ペットショップは単なる「お店」ではなく、私たち人間と動物の関係を映す鏡でもあります。今後は、動物の福祉と人間の共生を両立させた新しい形のショップが、ますます求められていくでしょう。

その歴史と背景を知ることは、ペットを迎える私たちにとって、より深い責任と愛情を持つ第一歩なのかもしれません。

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