【カタログ通販の先駆者】セシールの歴史|フランス語由来の企業名と時代を超えた挑戦の軌跡

はじめに:セシールとはどんな会社?

「セシール(cecile)」は、日本でいち早くカタログ通販を定着させた企業のひとつです。アパレルを中心に、インナー・インテリア・美容・生活雑貨など幅広い商品を扱い、特に女性向けの通販企業として長年支持を集めてきました。

この記事では、セシールの創業から黄金期、合併・買収を経た現在に至るまでの歴史を、わかりやすく解説します。

セシールの創業と社名の由来

セシールの前身は、1972年に香川県高松市で設立された「株式会社セシール」です。創業当初は「株式会社産業経済センター」といい、新聞の折込チラシを使った通信販売事業を行っていました。

「セシール」という社名は、フランス語で“あなたに”を意味する “à CECILE(ア・セシール)” に由来しています。「あなたのために」という想いを込めたブランド名として、1976年に採用されました。

1970〜80年代:カタログ通販の先駆者として躍進

セシールは1976年に本格的な女性向けファッションのカタログ販売をスタート。中でも、インナーウェア(下着)やルームウェアをメインに据えた戦略が功を奏し、多くの女性たちから支持を集めます。

当時、デパートやスーパーで気軽に下着を買う文化が定着していなかった中、自宅で気軽に選べるカタログ通販という手法は画期的でした。

“Cecile”カタログの特徴

  • 写真と価格がわかりやすく、主婦層に優しい構成
  • リーズナブルで機能的なインナーが豊富
  • サイズ展開が幅広く、地方ユーザーにも対応

この戦略により、1980年代には全国区の通販ブランドとして認知されるようになります。

1990年代:多角化と全国展開

1990年代に入ると、セシールは女性インナーにとどまらず、紳士服・子ども服・インテリア・美容・雑貨へと品揃えを拡大。ファッション総合通販企業としての地位を確立していきます。

また、高松本社を中心としながら、東京・大阪・福岡などに拠点を展開し、全国の顧客に対応できるカタログ配布ネットワークと物流体制を築き上げました。

テレビCMとブランド力

この時期には、軽快なBGMのテレビCMや新聞広告なども多数展開。「cecile」のロゴと柔らかな色使いが親しまれ、ブランドイメージの確立に貢献しました。

2000年代:EC化と競争激化の波

2000年代初頭には、インターネット通販の波が到来。セシールも自社ECサイトの開設・Webカタログ展開を進め、紙カタログからオンラインへの移行を図ります。

しかし、楽天市場やAmazon、後発のファッションEC(ZOZOTOWNなど)の台頭により、セシールの競争優位性は次第に薄れていきます。

顧客層の高齢化と構造転換の必要性

従来の主婦層顧客の高齢化が進む一方で、若年層の取り込みには苦戦。加えてカタログ印刷・配送料の高騰も収益を圧迫し、経営改革が迫られるようになりました。

2013年:フランス企業「レッドキャップ」傘下に

2013年、経営難の打開策として、セシールはフランスの流通大手「レッドキャップ」社の日本法人「レッドキャップジャパン」に株式を譲渡し、外資傘下となります。

しかし、業績回復は思うように進まず、再編の道を模索する中、次の転機を迎えます。

2015年:ベルーナによる完全子会社化

2015年、通販業界大手のベルーナがセシールを完全子会社化。アパレル中心の通販事業において、重複せず補完し合う関係にあることから、グループ内での相乗効果が期待されました。

ベルーナは、シニア向け・ミセスファッションを主軸とする一方で、セシールは女性インナー・雑貨・美容系の強みを発揮し、住み分けが図られています。

現在(2025年時点)のセシール

主な事業展開

  • レディース・インナー・ルームウェア
  • 生活雑貨・寝具・インテリア
  • 美容・ダイエット・健康サプリ
  • メンズウェア・ファミリー向け商品

通販チャネル

  • セシール公式オンラインストア
  • 楽天市場・Yahoo!ショッピングなどECモール
  • カタログ配送は縮小し、主にオンラインへ移行

企業情報

  • 会社名:株式会社セシール
  • 本社所在地:香川県高松市
  • 設立:1972年
  • 現在:株式会社ベルーナの完全子会社

まとめ:セシールの歴史は通販文化そのものだった

  • 1972年、香川で創業。下着通販で成長
  • 1980~90年代は総合通販ブランドとして全国展開
  • 2000年代、EC競争で苦戦するもデジタル対応を推進
  • 2015年以降はベルーナ傘下で再スタート

カタログから始まり、EC化を経て現在も続くセシールの歩みは、日本の通販史そのものとも言えるでしょう。今後は、グループ連携による商品・サービスの進化にも注目です。

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