【暮らしを彩る通販の老舗】ベルメゾンの歴史|千趣会の成長とカタログ文化の進化の物語

はじめに:ベルメゾンとは?

「ベルメゾン(BELLE MAISON)」は、日本を代表する通販ブランドのひとつであり、千趣会(せんしゅかい)が運営する総合通信販売サービスです。ファッションからインテリア、雑貨、マタニティ、ベビー用品まで幅広く取り扱い、“女性の暮らしを豊かにする”をコンセプトに、多くのファンを持つ老舗ブランドです。

本記事では、ベルメゾンの母体である千趣会の歴史から、ベルメゾンブランド誕生、カタログ通販の黄金期、そして現在のEC化までを詳しく解説します。

千趣会のはじまりと企業理念

ベルメゾンの運営母体である株式会社千趣会は、1955年に大阪で創業されました。創業当時は「千の趣味を集める会」という意味で「千趣会」と名づけられ、主婦向けの生活提案雑誌や頒布会(はんぷかい)形式の商品提供からスタートしました。

当初は郵送で小冊子を届ける形式で、月ごとに商品を届ける「頒布会方式」が人気を博し、全国の女性たちに広がっていきました。

ベルメゾンブランドの誕生

1980年代に入り、千趣会はカタログ通販事業を本格化。「ファッション」「インテリア」「マタニティ」など、ライフスタイル別に編集された分厚いカタログ冊子を全国に配布するようになります。

この通販ブランドが後に「BELLE MAISON(ベルメゾン)」と名づけられ、1990年代には日本全国の家庭に知られる存在となりました。「美しい家(=Belle Maison)」という意味の通り、日常を彩る商品が特徴です。

カタログの特徴

  • 商品点数が豊富(1冊で約1000点以上)
  • 写真が大きく、生活シーンが想像しやすいレイアウト
  • 主婦目線・子育て目線の商品提案が充実

1990〜2000年代:カタログ通販の黄金期

この時期、ベルメゾンはファッション・生活雑貨通販の国内最大級ブランドへと成長。テレビCMや新聞広告でも多く目にされるようになり、「通販=ベルメゾン」というイメージが定着しました。

特に女性向けの商品に強みを持ち、「マタニティ&ベビー用品」や「ナチュラル雑貨」「プチプラファッション」などのカテゴリが好評を博します。

この時代の強み

  • 千趣会オリジナル商品(PB)が多数展開
  • カタログからの注文電話の受付体制が充実
  • 返品無料・丁寧なカスタマー対応が高評価

2000年代:インターネット通販への対応

2000年代に入ると、楽天市場やAmazon、ZOZOTOWNなどが台頭し、カタログ中心だった通販業界にもデジタル化の波が押し寄せます。ベルメゾンも2001年に公式オンラインショップを本格展開し、カタログとECの二本柱体制に移行します。

カタログの見やすさを再現したWeb設計や、EC限定商品・キャンペーンなども打ち出し、徐々にデジタルシフトを強化しました。

2010年代:苦境と再編、そしてブランド再生へ

2010年代に入ると、通販業界は競争が激化。千趣会も例外ではなく、収益性の低下・顧客層の高齢化・物流コストの上昇など、さまざまな課題に直面します。

2015年には構造改革を目的とした人員削減や、社内体制のスリム化を断行。さらに、千趣会は2019年、通販業界大手「JFR(大丸松坂屋百貨店)」傘下に入り、経営再建を進めることとなります。

改革のポイント

  • デジタルマーケティング体制の強化
  • カタログの縮小・Web注文の誘導
  • 自社製品の品質向上・レビュー重視

現在(2025年時点)のベルメゾン

主な展開カテゴリ

  • レディースファッション・インナー・靴
  • 家具・インテリア・カーテン・収納
  • マタニティ・ベビー用品
  • コスメ・健康グッズ・寝具

通販チャネル

  • ベルメゾン公式オンラインストア
  • 楽天市場・Yahoo!ショッピング出店
  • アプリやLINE経由のクーポン配布

ブランドの方向性

「働く女性」「子育てママ」「ナチュラル志向」など、明確なターゲット層に向けた商品展開を継続。SDGsへの取り組みや、エシカル素材の使用なども今後注目されています。

まとめ:ベルメゾンの歴史は“暮らし提案”の歩み

  • 1955年、千趣会創業。主婦向け頒布会が原点
  • 1980年代、「ベルメゾン」として通販ブランド化
  • 1990年代にカタログ通販のトップブランドへ
  • 2000年代にEC化、2010年代に再編・再生へ

ベルメゾンの歴史は、ただ商品を売るだけでなく、女性の生活に寄り添い、選択肢を提供してきた“暮らしの提案”の積み重ねです。

時代の変化に柔軟に対応しながら、今もなお多くの家庭に愛され続けているベルメゾン。その姿勢は、今後の通販業界にとってもひとつの指標となるはずです。

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