生活保護とDV・家庭内トラブル|逃げた先で支援を受けるには何が必要?

「夫に暴力を振るわれた」「実家から逃げたい」「家族から金銭的に搾取されている」――
家庭内のトラブルは、心身に深刻なダメージを与えるだけでなく、生活の基盤をも奪います。

この記事では、DV(ドメスティック・バイオレンス)や家庭内トラブルで家を出た人が、生活保護を受けるにはどうすればよいのか?について、手続きの流れや注意点、実際の支援制度を具体的に解説します。

DVや家庭内トラブルは「やむを得ない理由」として認められる

生活保護を申請するには「働けない」「家計が苦しい」「頼れる人がいない」といった事情が必要です。
そしてDVや虐待・経済的支配などの家庭内トラブルは、保護の対象になり得る正当な理由です。

具体的に該当するケース

  • 配偶者からの暴力(身体的・性的・心理的)
  • 同居家族からの経済的搾取・強制労働
  • 宗教的支配や監禁状態
  • LGBTQ当事者に対する家庭からの迫害

「逃げた自分が悪い」と思わなくていい。
制度は、あなたのような人を守るためにあるのです。

DV被害者が生活保護を受けるためのステップ

1. 安全確保と避難

まずは命を守る行動を最優先に。
以下の場所に一時的に避難できます。

  • 女性相談センター・一時保護所
  • 警察署(110番)→ 緊急避難対応
  • NPO団体(シェルター運営など)

※避難先から生活保護の申請も可能です(住所がなくてもOK)

2. 福祉事務所へ相談・申請

避難後に市区町村の福祉事務所へ行き、「生活保護を申請したい」と伝えます。
DV被害であることを伝えると、配慮された対応(非通知調査・接触制限など)が取られます。

3. 必要書類の準備(難しい場合は相談可)

  • 本人確認書類(免許証・保険証など)
  • 避難の経緯(簡単なメモでもOK)
  • 診断書(怪我・PTSDがある場合)
  • 収入・通帳(不明な場合でも申請できます)

書類がなくても申請を拒むことは違法です。
支援者が同行してくれる場合もあります。

よくある誤解と真実

「DVでも実家に戻れるなら保護は受けられない?」

DVや虐待がある家庭に戻れというのは、制度上も倫理的にも誤りです。
扶養照会(親族への連絡)もDV被害の恐れがある場合は省略可能です。

「住所がないと保護は無理?」

一時保護施設やシェルターに滞在していれば、その施設の所在地で申請できます

「暴力の証拠がないとダメ?」

証拠がなくても、事情を詳しく説明することで支給に繋がるケースは多数あります。
診断書や支援団体の証言も有効です。

実際にあったケース

事例①:子ども2人を連れて夜逃げした母親

  • 夫のモラハラ・暴力が激化し、子どもと深夜に避難
  • 一時保護所経由で福祉事務所に同行支援
  • 翌月から生活保護+住宅扶助が開始

事例②:宗教的束縛から脱出した20代女性

  • 親の宗教活動の強制と暴力で心身に支障
  • 支援団体の紹介でNPOシェルターに避難
  • 精神科通院+保護申請 → 医療扶助・生活扶助支給

生活保護は、「逃げたあとに必要な生活」を支える制度です。

利用できるその他の制度

制度名内容問い合わせ先
一時保護安全確保のための緊急避難措置女性相談センター/児童相談所
母子生活支援施設母子家庭が一時的に生活する施設市区町村福祉課
DV相談+LINE・電話での24時間DV相談https://soudanplus.jp

支援団体(必要に応じて連絡を)

  • 全国女性シェルターネット
  • にんしんSOS東京(妊婦向け避難支援)
  • 反貧困ネットワーク
  • 全国生活保護支援法律家ネットワーク

「行政が頼れない」と感じたとき、民間の支援団体が心強い味方になります。

まとめ|DVからの避難後も“あなたの生活”は守られる

  • DVや家庭内トラブルは生活保護申請の正当な理由になる
  • 住所・証拠がなくても申請は可能
  • 扶養照会は拒否できる/不要とされることもある
  • 制度と支援団体を活用すれば“生活の再出発”ができる

逃げることは、勇気ある「生きる選択」です。
あなたのこれからを守る制度と支援の手は、きっとあります。

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